詩を書きます

2023年7月のブログ記事

  • 振り返る

    あれから長い歳月が過ぎて 魚の骨が喉に刺さったように あなたに捨てられた痛みが 時折いまだチクチクと刺す ずっと根に持っていた 寂しい自信のない若いだけの私を 惚れさせてあっさり捨てたあなた 時を経てようやく知る 自分を大事にしない女を男は大事にしない そして 自分を愛せない女は男を愛せないことを... 続きをみる

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  • 放蕩

    未熟さに割り切れず遊びなれたあなたに愛を求めた 孤独を抱えたあなたもぬくもりを求めて 互いの業が夜に溶けていく 過去に犯した過ちに縛られながら 明日を夢見てもがいた窓の外月に照らされた 救われたいだけなら この夜に終わりはないのに 幸せ手に入れても 遊びを重ねた あなたはこんなにも罪深い なくした... 続きをみる

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  • 捨て犬

    若いが朽ちていく季節に 愛してくれる人を探してた 誘惑の赤い口紅さしては 白い肌を露出するワンピース 愛に飢えた内面を隠さずに 夏の夜の終わり彷徨った 凌辱された苦しみに取りつかれては 忘れさせてくれる誰かを求めてた あなたの腕のなか 和らいだ痛みにまどろんで 女慣れしたあなたに気を許す 安い女に... 続きをみる

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  • 束の間の恋

    恨めしそうにあなたを見ていた ラウンジで眠るふりをするあなたはとても綺麗で 端正な横顔 釘付けになる 子供の私と 一回り年上の仕事も家庭もなんでも持ってるあなた 「この子は学生やで」 ママが釘を刺す あなたは頷いても私を誘う 傷つけないでね それならついていかなければすむこと それでもあなたはとて... 続きをみる

  • 呟き

    他の詩人の織り成す詩に現れる 知性と教養に血悶えする 他の詩人の透明な哲学的な詩に 愛だ恋だ書き連ねるだけの我身もだえる それだけ素晴らしい詩を書きたいのか いいや ただ感情のおもねくままに 吐き出したい この二十年あまりの罪と業を ただ それだけの 志のない 救われたいだけの詩 せめてそれが詩と... 続きをみる

  • 求め

    携帯の待ち受け 娘の写真 見つめるあなたの微笑み 私を傷つけた 別れにいたる家族とのエピソード 聞きたくない私の気持ちがわからないの 失望に薬を流し込む 二の腕や手首に走る血の線 理解できないあなた 愛が欲しい救われたい痛む心 いつまで探しまわれば手に入る 私を見て 一生つきまとう壊れた家族という... 続きをみる

  • 年月

    何も知らない中学生だった頃 私を好きだという美しい男の子が現れて ふさわしくないと私は学校中の笑いものになった 色気づきだした大学生の頃 私を気にいったという美しい男の子が近づいて 彼の彼女は泣きながら内心呆れて彼を捨てた 若さを失いかけた二十代後半 それでも愛や恋に夢を見る私を知らない男が 凌辱... 続きをみる

  • 情事

    助けてと悲鳴をあげる 声に出さずに 投げやりに体を投げ出す 自棄が透けて 力を込めて抱いて 据わった黒い瞳 何も考えずに すべて忘れてしまいたい 初めて会った瞬間から 予感がした ほのかな微笑み 私を見つめる余裕 優しい目でうなづく 無意識のやり口でも 惹きつけられてしまう 唇を重ね合わせ 何もか... 続きをみる

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  • それでいい

    あの夏の朝 太陽の下赤いワンピース 女の子は連れ去られた 赤い唇から叫びは出ずに あれから日も経たずあなたに出会った すがりたい思いに歯止めは効かずに 見捨てないでね そばにいてね こうして笑って見せるけれど 心は震えているの あの夏の朝 魂が損なわれた 過剰ではなく欠落 空虚さであなたにまとわり... 続きをみる

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  • 暗い部屋で繰り返すあなたの物語 過去の傷が癒えない 溜息まじりの声 私の頬を撫でる ふっとそっと笑みを漏らす 伸ばした腕のうえで 永遠に眠りについていたい 初めて会った日からこうなる気がした 支離滅裂な私の言葉に優しく聞き入って もう過去の話だと 暗闇であなたは呟くの 家族をなくした痛み 隣にいる... 続きをみる

  • 七夕

    七夕の日 お金を占い師に払って センチメンタルに私は語る とうの昔に引き裂かれた 彼と彼女の物語を 彼はお金も愛も欲しがって 結局すべてを失った 彼はどうしているんでしょうねえ、と私は呟く 占い師は死神のカードを引いて答える 「まだ生きてるわ。死にたいなあ、と思いながらね」 彼女は彼の愛だけを大事... 続きをみる

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  • フラボノ(偽薬)

    あなたの冗談 昨日のことのように 心をあたためる けれどもう二度と会えなくて 孤独がのしかかる 涙も出ない固まったこの体 生まれ育った境遇に親しみを感じて 近づいたの ソウルメイトのように 私だけじゃ足りない 好きをいくら囁いても どれだけの愛情を得られれば癒される 傷が塞がらないなら 愛はフラボ... 続きをみる

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  • 不信

    「好きな人ができた」と私が言うと あなたはすかさず私の部屋に散乱する荷物をまとめた 「ここはあいつの会社の通り道だぞ。夜中に急にこの部屋に来て  俺の荷物があったらどうなるか。嫌われたいのか」 痛んだヴィトンのボストンバッグを満タンにして 「千代子の荷物だけ預かってくれ」と私に差し出した。 薄汚れ... 続きをみる

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  • 欺瞞

    人を惹きつけようと あなたは色んな面を見せる シリアスな顔 子供じみた無邪気な笑顔 魅せようとする必死さが滲み出て醒める 夢ならもっと上手に見せてほしい 次から次へと変わる声音は滑稽で 痛々しくさえある笑顔 視線が物欲しそうに光る ただ黙って話を聞く どこまでもあなたは語る 得意そうに悪い男を気取... 続きをみる

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