詩を書きます

口紅

綺麗になりたい願いを込めて
さす口紅の赤が鏡に映る
毒々しく光るその色に
ついていけない貌は暗く


鏡の傍見つめてるあなた
ティッシュで口を拭う私をふっと笑う


滑稽でしょう
あなたの代わり探して
他の誰かを探して化粧する
自分からは
振らないと残酷な優しさ
いっそ出会わなければ


普通より綺麗だよと
付き合う以前の男が言う
唇は可憐なピンクに染めて
自分を隠すように着た可愛い服


夜が来る誘われるまま
クラブディスコ 下手くそな踊り


あなたにさえ
出会わなければ
女として傷つくこともなかった
手慣れた
そのあしらいやり口に
自分を見失うこともなかった


何も考えられなくなるほどの
光と音の洪水のなか あなたを思うよ


あの日
捨て犬のように飢えていなければ
冷たくあなたが私を拾わなければ
私が
溺れるまいとあなたにしがみつかなかったら
こんなにまた傷を負うことはなかったの?