詩を書きます

それでいい

あの夏の朝 太陽の下赤いワンピース
女の子は連れ去られた 赤い唇から叫びは出ずに


あれから日も経たずあなたに出会った
すがりたい思いに歯止めは効かずに


見捨てないでね そばにいてね
こうして笑って見せるけれど 心は震えているの


あの夏の朝 魂が損なわれた
過剰ではなく欠落 空虚さであなたにまとわりつく


放っていかないでね 去らないでね
明るくしてるから 抱えてしまった傷はいつか塞ぐ
あなたさえそばいにいたなら 魂など


どこからか虫の鳴き声 暗い夜の部屋で二人眠る
そっと手を伸ばして抱きしめられる もうすでに泣きたくなる


子供のかわりに私を抱きしめる 手慣れたようにあやす
背中をそっと撫でる 心の中見透かすように
闇のなか二人の影が溶けて孤独さえ消えていく
重い口を開いては閉じて瞼を伏せる


長い夜の果てに繰り返される生活
その先にまたあるこの時を 大事に抱えて生きる
短い日々に追われてたどり着く夜
涙も血もシャワーで流し 暗がりであなたの抱擁を乞う